一人暮らしの平均的なガス代(月)とは?
総務省統計局が発表しているデータ(2020年)によると、一人暮らしの平均的なガス代は3,021円/月※1です。
ただし以下のように比較すると季節ごとでの差異が確認できます。浴槽にお湯を溜めたり、暖房器具などをよく使ったりする冬場はガス代が高くなる傾向があるようです。
季節ごとの平均的なガス代
年間平均額(2020年)※1 | 3,021円/月 |
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秋(2020年10~12月期)※2 | 2,533円/月 |
冬(2021年1~3月期)※2 | 3,562円/月 |
春(2021年4~6月期)※2 | 3,313円/月 |
夏(2021年7~9月期)※2 | 2,262円/月 |
- ※1 参考「家計調査」(総務省)
- ※2 参考「家計調査」(総務省)
都市ガスとプロパンガスの違い
ガス代が平均より高い方は、ガスの種類による差があるのかもしれません。ガスには「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類があります。ガス代が平均より高いのはプロパンガスを使っている方かもしれません。

都市ガスとは
都市ガスとは、LNGと呼ばれる液化天然ガスと主成分がメタンで構成されている天然ガスが原料の大半を占めるガスです。
天然ガスは持ち運ぶ際に便利な性質を持っていて、天然ガスを-162℃まで冷やすと液体になったり、体積が1/600と小さくなったりします。一般的に道路下のガス管を通じて供給されます。
都市ガスにはメリットとデメリットがあります。今回はメリットを3つ、デメリットを2つ挙げてみました。確認していきましょう。

環境にやさしい
都市ガスの原料である液化天然ガスは、製造する際に硫黄などの不純物を取り除くため、クリーンなエネルギーとして考えられています。燃焼時に発生する二酸化炭素の量も少なく、酸性雨や大気汚染の原因と危惧されている窒素酸化物も少量しか排出しません。

料金が安い
一人暮らしの場合、都市ガスはプロパンガスに比べて1/2程度の値段で使用できます。詳しい計算方法は、あとで紹介しますので参考にしてみましょう。

空気より軽いためガス漏れしても拡散されやすい
都市ガスの主原料である天然ガスは空気よりも軽いです。そのため万が一ガス漏れしても拡散されやすく、その場にガスが溜まることは少ないです。

災害時の復旧が遅い
一般的に道路下のガス管を通じて都市ガスは供給されているとすでに説明しました。そのため地震などの災害時には、ガスの供給が止まる可能性があります。地震でガス供給が止まった場合はガス管の点検が必要です。そのため復旧するまでに時間がかかる場合があります。

高額な初期費用がかかる可能性がある
一人暮らしで賃貸物件を利用する場合は関係ないかもしれませんが、都市ガスを利用するには道路下のガス管から自宅に供給管を引き入れる必要があります。供給管を伸ばすための工事費が10万円以上かかる場合があるのもデメリットとされています。
プロパンガスとは
プロパンガスとは、LPGと呼ばれる液化石油ガスです。主な成分はプロパンやブタンです。
プロパンガスも都市ガスと同様、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。-42℃まで冷えると液体になり、気体のときに比べて体積が1/250程度まで小さくなる点は都市ガスと少し差異があるでしょう。一般的にプロパンガスの入ったボンベを事業者が配送して供給されます。
プロパンガスのメリットとデメリットもチェックしておきましょう。メリット3つとデメリット2つを挙げてみました。

火力が強い
都市ガスと比べてプロパンガスは発熱量が高いのが特徴です。プロパンガスの燃焼時の発熱量は都市ガスの約2.2倍といわれます。高火力が必要とされる中華料理店などでは、プロパンガスの方が好まれる場面が多そうです。

災害時の復旧が早い
プロパンガスは供給方法が都市ガスとは異なります。事業者がボンベを個別に配送する個別供給型での供給が一般的です。万が一災害が起きても点検すべき点が少なく、都市ガスに比べて復旧が早いのが特長といわれます。

初期費用が安い
都市ガスは供給管を伸ばすための工事とその費用が必要です。プロパンガスは個別にガスボンベが配送されるため大きな工事が不要です。
一人暮らしで賃貸物件を利用する場合は関係ないかもしれませんが、初期費用が抑えられる点もプロパンガスのメリットとされています。

都市ガスよりも料金が高い
プロパンガスの方が都市ガスよりも高価な点をすでに紹介しました。東京都の場合、都市ガスに比べて平均価格が約2倍もプロパンガスは高いです。差異はありますが、他の地域でもおおむね東京都と同程度の価格差があります。

保証金が必要な場合がある
ガス代が未払いのまま退去されるのを防ぐために、プロパンガスの場合、アパートやマンションの入居者は保証金を求められる場合があります。
ガス会社にもよりますが、一般的には通常使用ガス料金の2~3ヵ月分を保証金として預けるように求められるでしょう。保証金は契約終了時に返ってくるため「預り証」の保管が重要です。
ガス代の仕組みを理解しよう
ガス代が高い場合には原因を分析しましょう。料金が高い会社と契約したのか、単なる使いすぎかを冷静に確認するのがおススメです。
まず計算方法を理解し、ガス代の高い・安いかを判断できるようになりましょう。

ガス代の計算方法
ガス代の計算方法は「基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)」です。むずかしい言葉もあるので、用語を1つずつ解説していきます。
基本料金
- 月ごとの使用量によってあらかじめ決められた一定額の料金
- ガスは、まったく使わなかったとしても基本料金が発生します。具体例として東京ガスの場合を見てみましょう。1ヵ月の使用量が0〜20m3であれば759円、20〜80m3であれば1,056円/件となります(2022年1月東京地区等で計算)※3。
従量料金
- 使用したガスの量に応じて増えていく料金
従量料金は1m3当たりの使用料である「単位料金」に、その月に使用したガスの総量を掛け合わせて算出します※4。
東京ガスの場合、ひと月に20m3使用すると1m3当たり145.31円かかるため「145.31円×20m3=2906.2円」となり、その月は従量料金が2,906円請求される仕組みです※3。
ガス代を節約する方法
ガス代の節約には多くの方法が試せます。節約方法を8つまとめてみました。今日からでも実践してみましょう。
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台所でお湯を出しっぱなしにしない
お湯を流しながら洗い物をすると多くのガスを消費します。洗い物は水に浸け置いてからまとめて洗いましょう。汚れが落ちやすくなり効率的に洗えます。
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食洗時の給湯温度を下げる
食器を洗うときのお湯の設定温度を少し下げてみましょう。40度から38度まで下げるだけで年間約1,430円もの節約につながります(冷房使用期間を除く253日間、水温20℃・65Lの水道水で2回/日ほど手洗いをした場合)。
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給湯器を活用する
給湯器は熱効率の高い機械です。水からではなく、給湯器から給水して火にかけて温めるようにするとガス代の節約につながります。
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フライパンは完全に乾かしてから
使用する底や表面が濡れたままフライパンを使用していないでしょうか。水分を蒸発させるためにムダなエネルギーを消費するので止めましょう。
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キッチンのガスバーナーを掃除する
ガスコンロの火が出る穴を「バーナー」と呼びます。料理での油跳ねや吹きこぼれによりバーナーには汚れが詰まりやすいです。
同じガスの使用量でも、汚れが詰まった状態はきれいな状態より火力が弱くなってしまいます。こまめに掃除をしてガスバーナーをきれいな状態に保ちましょう。
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ガスを使わない調理器具を使う
ガスコンロを使用せずに他の器具を使う方法もあります。IH調理器具や電子レンジを活用すればガス代の節約につながるでしょう。
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一人暮らしならばシャワー・
家族が多ければお湯を溜めるシャワーは、1分間に12Lものお湯を使います。4人家族が一人4分ずつシャワーを使うと浴槽1杯分とほぼ同じ量です。そのため人数が多い場合は浴槽にお湯を溜めた方がコスパはいいかもしれません。
一人暮らしであれば、浴槽にお湯を溜めずシャワーだけで済ませるのもよいでしょう。できる限りシャワー時間を短くするのも重要です。
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ガス会社の乗り換えを検討する
料金はガス会社によってさまざまです。値段の高いところもあれば安いところもあります。
今回紹介した計算式を元に会社ごとのガス料金を比較して、安い会社に乗り換えると節約できる可能性があるでしょう。工事が不要ならば、プロパンガスから都市ガスに乗り換えるのもおススメです。
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オール電化にして
安い電気会社と契約するオール電化も有効な手段です。今まで電気とガス両方で支払っていた基本料金が電気の分だけになり節約につながります。
もちろん使用する電力量は増えるでしょう。料金の高い電気会社と契約をしていたら逆に光熱費の合計が上がる可能性があります。電力会社の選び直しも必要になるでしょう。