ADSLとは?
ADSLとは、「Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)」※1の略で、敷設された電話回線を流用して通信ができるインターネット回線です。
日本では2000年代前半に普及が始まりました。ADSLは、電話回線を使用するため、日本全国で通信が利用できます。
現在は、モバイル回線のホームルーターやモバイルWiFiルーター、光回線の登場によりADSLの利用者は減少しています。
また、ADSLのサービス事業者は新規受付を停止し、サービス終了も発表しています。詳しくは後述します。
ADSL回線と光回線、CATVの違い
固定回線であるADSL回線と光回線、CATVには、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、回線の種類、通信速度、安定性、通信費などから、3つの回線を比べてみます。
- 線の種類:電話回線
- 通信速度:上り~5Mbps、下り~50Mbps
- 通信の安定性:アナログ回線のため不安定な場合あり
- 回線の種類:光ファイバー
- 通信速度:上り~10Gbps、下り~10Gbps
- 通信の安定性:一定して安定している
- 回線の種類:ケーブルテレビの同軸ケーブルや光ファイバーを利用
- 通信速度:上り~100Mbps、下り~1Gbps程度
- 通信の安定性:光回線に比べると劣ることがある
回線の種類
ADSL回線は、一般の電話回線を利用して通信を行います。メタルケーブルを使用し、電気信号によってデータをやりとりするため、NTT基地局からの距離に応じて、通信速度が変わってしまうというデメリットがあります。
対して光回線は、「光ファイバー」と呼ばれる伝送路(光回線)を利用して、データを送受信します。光信号であるため、電気信号に比べて通信速度は格段に速く、安定していることが特徴です。
CATVのインターネット回線は、途中まではケーブルテレビの同軸ケーブルを利用して途中からは光ファイバーを利用するHFC方式と、光ファイバーで直接つなぐFTTH方式の2つが主流となっています。
特にHFC方式は、ケーブルテレビの同軸ケーブルを含むため、光回線に比べると通信速度は劣る傾向です。
通信速度
ADSL回線の通信速度は、上り最大~5Mbps、下り最大~50Mbpsです。光回線の通信速度は、上り最大~10Gbps、下り最大~102Gbpsです。
Webサイトの閲覧や動画視聴に必要な下り最大速度で比べると、ADSL回線の50Mbpsに対して、光回線は102Gbps(10,2000Mbps)となり、約2040倍の速さになります。
CATVの通信速度は、通信速度は上り~100Mbps、下り~1Gbpsなどで、各サービスで利用できる通信速度は大きく異なります。CATVの主要サービスの速度は下り320Mbps、上り10Mbps程度です。
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通信の安定性
ADSL回線はメタルケーブルを使用しているため、電磁波などノイズや、外部からの干渉を受けやすく、通信が不安定です。
一方、光回線で使用されている光ファイバーは、電磁波などノイズの影響を受けにくく、通信が非常に安定しています。
そのため、大容量のデータのやりとりや、動画の視聴なども、ストレスなく行うことができます。
CATVは、特に同軸ケーブルを含む方式の場合、光ファイバーのみで通信をする光回線に比べると、通信の安定性は劣ります。
通信費
料金プランによっても異なりますが、一般的にADSL回線は光回線よりも、通信費が安いといわれています。
一例として、NTT東日本の「フレッツ・ADSL」と「フレッツ光」の月額利用料を比べてみます。
「フレッツ・ADSL」は、電話共用型で1,760円~3,080円、ADSL専用型で3,245円~5,555円となっています。
「フレッツ光」は、戸建て向けで5,720円~6,380円、集合住宅向けで3,135円~6,050円です。
なお、ADSL回線は2006年以降、加入者数が減少に転じ年々縮小傾向にありました。
通信に必要な設備の保守管理を維持していくことが難しい状況になり、モデムなどの接続機器の製造も終了していることから、サービス事業者ではすでに新規加入の停止を行っています。
CATVの料金はサービスごとにさまざまですが、ケーブルテレビを視聴する予定があり、セットで契約する場合はおトクに利用できます。
ケーブルテレビを利用する予定がある方や、すでに利用している方は、光回線などを別で契約する代わりにCATVのインターネット回線を選ぶと、出費が抑えられる可能性があります。