5Gの通信速度が遅いと感じる原因
高速通信が可能な5Gですが、利用者のなかには「思ったよりも通信速度が遅い」と感じる方もいます。
ここでは、5Gの通信速度が遅いと感じてしまう原因を、基地局と端末(デバイス)、2つのポイントから解説します。

基地局の問題
基地局が原因で5Gの速度が遅いと感じてしまう理由から解説します。そもそも基地局とは、スマホで発信した電波を基地局で受信し、光ケーブルを介し情報が交換局に送られます。
その情報を相手側に最も近い基地局に送信し受信することで通話やデータ通信を行います。
なお、利用者からはわからない基地局で起きている速度低下の原因とは、どのようなものになるのか以下で詳しく解説します。
5Gの基地局が少ない
日本国内で5Gが商用化されたのは、2020年3月です。本格的に利用され始めてからそれほど年数が経っておらず、2023年2月現在も積極的に基地局の設置工事を進めています。
そのため、基地局が少ない地域では安定した5G通信を行うことができず、通信速度が遅くなってしまうのです。
基地局の問題は、現在も設置が順次進んでおり次第に解消されることが見込まれます。
5Gの電波の特性
基地局の数とも密接に関係しているのが、5Gの電波の特性です。5Gの電波は4Gに比べて周波数が高く、遠くまで届きにくいため、ひとつの基地局がカバーできる範囲が狭くなってしまいます。
基地局が少ない現状では通信速度が低下しやすいといえます。
さらに、5Gの電波は直進性が高いという特性もあります。直進性が高いと、遮るものが多いほど電波自体が減衰してしまうため、屋内や障害物の多い場所では通信速度が低下してしまいます。
これらの電波に関する対策としては、4Gと5Gを併用することで快適な速度は維持されています。
パケ止まり
「パケ止まり」とは、5Gのマークが表示されているにもかかわらず、通信が止まってしまう現象です。パケ止まりは、5Gの電波が弱いエリアで、基地局側が無理に5G通信を継続させようとして起こります。
また、既存の4G施設を活用した「NSA(ノンスタンドアローン)方式」で運用している基地局でも、運用オプションのチューニングが不十分でパケ止まりが起こる場合があります。
端末(デバイス)の不具合
次は、端末(デバイス)側の不具合で起こる5G通信速度の低下について解説します。
5Gに対応したエリア内で使っている場合や、基地局の電波状況に問題がない時に速度低下が起こっている場合は、端末の状態をしっかり確認しましょう。
端末で5Gが有効になっていない
5G通信は端末で接続設定を行うことで、開始されます。5Gに接続されない場合は、5G通信への接続が有効になっているかを確かめましょう。
また、5G通信を利用するには、各キャリアが提供している5G対応の料金プランに加入する必要があります。
端末が5Gに対応しているだけでは、5G通信を利用することはできません。不具合を感じたら、契約したプランをチェックしてみましょう。
データ通信容量が超過している
5G通信は大容量のデータを高速で通信できる技術ですが、これは回線だけの特性であり、料金プランのデータ通信容量が増えるわけではありません。
5G通信を利用していても、4G通信と同じように、料金プランで定められたデータ通信容量を超過すると通信速度が制限されてしまうのです。
また、5G通信はデータが大きくてもスムーズに通信できるため、4G通信の利用時よりもデータ通信量が多くなる傾向があります。
気付かないうちにデータ通信容量を超過している可能性もあるため、定期的にデータ通信量を確かめておくことが必要です。
デバイスが5Gバンドに対応していない
5G通信を使用するうえで覚えておきたいのが「バンド」という言葉です。バンドとは「電波の周波数帯」のことで、700MHz帯のB28や3.7GHz帯のn77/n78など、4G/5G合わせ、大きく分けて13種類があります。
また同じバンド内でも、各携帯キャリアにはそれぞれ使用できる周波数が割り当てられており、割り当てられた以外の周波数は使えません。
各キャリアから販売されている5G対応スマホは、キャリアが使用できるバンドに対応するように作られています。そこで注意したいことが、SIMフリー端末と契約キャリアの関係です。
例えば、auの端末はauが使用できるバンドにのみ対応しており、docomoやSoftBankのSIMカードを用いると、5G通信が利用できないことがあります。
そのため、快適に5G通信を利用するには、端末が契約中キャリアの5Gバンドに対応しているかどうか、事前によく確かめましょう。