格安スマホとは、大手キャリアとくらべて安く使えるスマホの総称
スマホは一般的に、携帯キャリアから提供されるSIMカードを端末にさして通信を行います。そこで、月々の利用料金を格安で利用できるSIMを「格安SIM」と呼び、端末+SIMカードのセットを指す場合は「格安スマホ」と呼ばれようになりました。
格安SIMを提供する事業者を「MVNO」と呼びます。Mobile Virtual Network Operatorの頭文字をとった呼び名で、「仮想移動体通信事業者」が日本語訳です。MVNOの特徴として、大手キャリアから通信設備(インフラ)を借りている点が挙げられます。
UQモバイルも、2020年10月1日まではMVNOのひとつでした。現在は、KDDIが提供するブランドのひとつとしてauやpovoとともにサービスを展開しています。
UQモバイルは、全国幅広いエリアでつかえる利便性の高さやサポート対応のための店舗展開など、ほかのMVNOの弱点とされる部分をカバーしていることが強みとして挙げられます。
以前からauを利用されている方にとっては、「KDDIが提供するブランドのひとつだから」と安心して乗り換えられる理由にもなっています。
格安で利用できる理由
MVNOがスマホやSIMカードの利用料金を格安で提供できることには理由があります。
先述したとおり、通信回線を携帯キャリアからレンタルしているためです。携帯キャリアは通信設備(インフラ)を整えるために初期投資を行い、構築したあとも維持費用を支払っています。
初期投資や維持費用はユーザーからの利用料金でまかなわなければなりません。そのため大手キャリアの利用料金は高くなるのです。
一方、MVNOは設備を借りているだけなので、初期費用・維持費用の負担が小さくて済みます。その分だけ利用料金を下げられる仕組みです。
また、人件費や販売管理費などのコストを抑えている点もMVNOの利用料金が安い要因とされます。通信設備(インフラ)だけでなく、実店舗を持たないMVNOもあり、契約やお問い合わせなどの対応をオンラインに限定することで、店舗の維持費や人件費などを削減できます。
しかし、自分1人でお申し込みや手続きを進めることに不安を覚える方もいるでしょう。そういった方のために、実店舗での接客や電話応対にスタッフをそろえてサポートを行っている点は、UQモバイルの強みといえます。
格安スマホを利用するデメリット
格安スマホにはデメリットもあります。乗り換えの際に失敗・後悔をしないために、1つずつ確認しておきましょう。
端末の初期設定を自分で行う必要がある
料金を安くするためにサポート用の店舗を持たないMVNOがあることを紹介しました。携帯キャリアでは、初期設定などをスタッフに任せられますが、サポート用の店舗がない格安スマホを選ぶと、初期設定を自分で行う必要があります。
例えば、キャリアの乗り換えと同時に機種変更をする場合は、機種、SIMカードのサイズ、キャリアの通信規格などを調べて、正しい組み合わせを選んだうえで、必要な初期設定を行う必要があります。
組み合わせを間違えてしまうと、初期設定さえできない可能性もあるので、注意しましょう。
通信が不安定・通信速度が遅い場合がある
格安スマホの事業者は通信回線を携帯キャリアからレンタルしている立場です。そのため、ネット利用が集中する時間帯は通信が不安定になる可能性があります。
朝夕の通勤や通学の時間、昼休憩の時間、帰宅後で利用が増える21〜23時の夜間は通信速度が遅くなることが考えられるため、注意しましょう。
携帯キャリアの独自サービスが使えない(メールアドレス・決済サービス・LINEの年齢認証やID検索)
携帯キャリアから付与されるメールアドレスを利用している方も多いでしょう。もしくは決済やポイントのサービスも携帯キャリアが提供しているものを使用しているかもしれません。
格安スマホに乗り換えると、MNPで電話番号は引き継げたとしても、携帯キャリアの契約に基づくメールアドレスやポイントなどを使用できなくなる可能性があります。
またLINEの機能に一部制限がかかる格安スマホがあることにも注意が必要です。年齢認証やID検索が使えなくなる場合もあります。
使いかたによっては通話料金が高額になる
携帯キャリアでの通話料は国内通話で22円/30秒であることが多いです。ただし、使い方によって通話料が高額になるリスクがあるため、通話し放題のプランやオプションに加入していたという方もいるのではないでしょうか。
格安スマホのなかには、携帯キャリアよりも通話料が安いものがあります。しかし単価が安くても、通話量に応じた課金が無制限の場合、通話料が高額になる場合もあります。
使い方によっては通話料金が高額になる可能性があることを認識しておきましょう。
テザリングが非対応/有料オプションの場合がある
テザリングとは、WiFiルーターの代わりにスマホを介して、パソコンやタブレットなどのほかの機器からデータ通信を行う機能です。スマホのテザリングを使用すれば、WiFiルーターの購入や契約にかかる費用が節約できます。
しかしテザリングに対応していない事業者や、対応していても有料オプションになっている場合があります。
乗り換えに時間がかかる場合がある
MNPの利用には準備と時間が必要です。乗り換え前のキャリアからMNP予約番号の発行が必要になる場合があります。
また、店舗ですぐに乗り換え作業ができれば良いですが、ネットで申し込む場合、SIMカードやスマホ本体などの商品が到着するまでの時間の発生は避けられません。数日かかるケースもあるため、余裕を持って申し込むようにしましょう。
向井さん
格安SIMが安いのは確かですが、そのために必要なものが使えなくなってしまっては意味がありません。
しかし、必要なものは人によって違うので、デメリットになりえるポイントを乗り換え前にしっかり調べましょう。
【災害時】格安スマホを利用するデメリット
スマホは災害時に欠かせないものになりつつありますが、格安スマホと大手キャリアでは、提供するサービスの内容が異なる場合があるので、注意が必要です。
具体的には、以下のサービスで違いがある可能性があります。
- 音声通話やデータ通信に規制がかかる場合がある
- 事業者が災害伝言板を提供しない場合がある
- 緊急速報を受信できない場合がある
災害時の通信規制は格安スマホに限ったことではありませんが、通信設備(インフラ)を携帯キャリアからレンタルしている分、通信が不安定になる場合があります。
また、格安スマホの多くは災害伝言板のサービスがなく、緊急速報の受信に対応していない機種もあるので注意しましょう。
格安スマホを利用するメリット
格安スマホのメリットは安さだけではありません。すでにいくつか紹介しましたが、整理しながらあらためて紹介します。格安スマホと大手キャリアとの違いを理解するうえでも役立ちます。
月額料金が安い
名前のとおり格安で利用できる点がメリットとして挙げられます。格安スマホは、通信回線を携帯キャリアからレンタルしたり、店舗を持たずにネット上でお申し込み・設定・問い合わせなどの対応を行い、維持費を抑えています。
また、利用料金は抑えつつも満足して使えるようにするため、格安スマホでは下記のような機能やサービスが用意されています。ただし、名称や内容は事業者ごとで異なります。
カウントフリー
- 特定のネットサービスでデータ通信をしても、月間のデータ容量としてカウントしないサービス
くりこしサービス
- データ容量を使いきれずに余った場合に、翌月にくりこせるサービス(くりこし上限がある場合があります。)
節約モード
- 通信速度を下げて、データ通信量を節約するモード
料金体系がシンプルでわかりやすい
格安スマホは、シンプルな料金体系をとっている場合が多くあります。月々に使えるデータ容量の大きさに応じたプランが数パターン用意され、使い方に応じて選べるようになっています。
携帯キャリアの場合は、プランがパッケージ化され、不要であるものの外せないサービスもあります。
格安スマホは、データ容量の増加など必要なオプションだけを追加することが一般的です。最低限のサービスにしぼれれば、必要以上に料金が高くなる心配も少なくなります。
契約期間の縛りがゆるい
格安スマホには、契約期間がなく乗り換えがしやすいというメリットがあります。大手キャリアでは、一定期間の利用継続を前提に利用料金や端末代を安くする契約が主流でした。
しかし、競争を活性化させるために、現在では乗り換えの障壁になる条件は撤廃されています。これらの流れを受けて、格安スマホも縛りをゆるめることが主流になりました。
データ通信のみのプランも選択できる
格安スマホはシンプルなプランをベースにし、サービスやオプションを追加しながら個々人が使いやすいようにカスタマイズできるメリットがあります。特に、音声通話の使い方は人それぞれで違いが出る点です。
そのため、格安スマホでは通話の長さや頻度に合わせて音声通話の有無やオプションを選べる方式が一般的になりました。
なかにはデータ通信のみで音声通話は不要という方もいるでしょう。格安SIMによっては、さらに料金が安くなるデータ通信のみのプランや、より大きなデータ容量が必要な方向けのプランがあるなど、わかりやすさと使いやすさを両立していることが格安スマホの特長です。
今までの電話番号を引き継げる場合がある
電話番号を変えたくない方は「MNP(Mobile Number Portability:携帯電話番号ポータビリティ)」の利用が可能です。
MNPとは、他のキャリアに乗り換えても、現在使用している電話番号をそのまま使用できるサービスです。
「格安スマホに切り替えたい」と思いながらも、電話番号の変更は気が進まず通信会社を変えるか迷っていた方は、MNPの利用をおススメします。
ただし、SIMロックなど利用方法が機種によって異なる場合があるほか、利用できない事業者もあるため注意が必要です。
MNPの利用に関する詳細は、機種メーカーや通信会社のホームページで確認できます。
向井さん
デメリットを把握したうえで、メリットがあるのか、あるとすればどれくらいなのか、考えてみましょう。
メリットによって、デメリットを埋め合わせできる場合もあるからです。何より、毎月の固定費が安くなるのは魅力的です。