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より速く、より使いやすく。下り最大440Mbpsに進化したWiMAX 2+の魅力を解剖(後篇)

インタビュー 2017/01/13

(前篇はこちら

――最近は、SNSなどで写真や動画をアップロードすることも多くなりました。上りの通信についての改善はありますか?

要海: WiMAXはインターネット利用を意識しており、多くの無線リソースを下り(ダウンロード)に配分する設計としています。実際の利用率で見ても、やはり多くは下りのデータ量が占めている状況にあります。一方で、昨今は上り(アップロード)のネットワークを利用するお客様が増加する傾向があります。そのため、今後のストレスフリーは下りだけでは不十分ではないかと考え、上りも快適にご利用いただくために、速度向上技術を採用しています。

技術的には、上りのキャリアアグリゲーション(ULCA)と、変調方式を更に効率を良くする64QAM方式を追加する対応を行いました。この結果、従来は10Mbpsが上り通信速度の最大値でしたが、「WX03」では最大30Mbpsの通信速度を提供できるようになりました。

実際には、キャリアアグリゲーション適用や変調方式の追加を行っても、机上論理の通りに高速化できるとは限りません。ネットワーク全体のエリア設計や様々な最適化など、これまで高速通信の技術を牽引してきたUQだからこそ持っているノウハウが、新しいサービスでも生きてくると考えています。

どこでも快適に使えるエリア、品質の提供にも注力

――新しい高速データ通信サービスというと、エリアが限られる印象があります。下り最大440Mbpsのサービスの展開はどのような計画ですか。

要海:4×4 MIMO技術及びキャリアアグリゲーションや、上りのULCAと64QAM対応は、全国エリア(一部を除く)の基地局で対応が出来ています。ただし、最大速度の追求に留まらず、実行速度として効率よくお客様にサービスを提供する事が大切になります。これには様々な項目のチューニングが必要で、順次に準備を進めている状況にあり、12月の「WX03」発売のタイミングでは東名阪を中心にしたエリアで440Mbps対応を完了させました。2017年2月1日以降順次、440Mbps対応エリアを、全国(一部地域を除く)に拡大する予定です。もうすぐ、440Mbpsの高速データ通信を適用したサービスを全国で体感頂ける日が来ますので、楽しみにしていてください。

WiMAX 2+のサービスエリアは全国に広がっている

UQではエリアの拡大や更なる品質向上も継続して取り組みを進めています。その1つが都市部の品質向上対策です。おかげさまでWiMAXをご利用いただくお客様が増加傾向にあり、都市部など当初設計したネットワークではトラヒック需要に充分でないケースも見受けられる状況があります。そこで基地局を単純に追加するのではなく、エリアのつくり方から再検討して、より理想的な基地局の配置になるように見直しを行う取り組みを始めています。この対策は2016年度から2017年度にかけて実施する計画で進めています。

また、基地局と基地局の中間地点、建物の影、屋内といった場所など、エリアの中にはどうしても小さなエリアの「穴」が空いてしまうケースもあります。その場合、通常の基地局を追加設置すると電波の勢力が強すぎ、周辺の基地局との干渉が生じてエリアの品質の低下を招くことにも配慮が必要になります。特に都市部では建物が複雑に入り組んでいるので、その配置がより難しくなる傾向が多いです。これらに対しては、電柱などにスモールセル(カバーエリアが小さい)基地局を設置することで、エリアの穴をなくす対策も2016年度に集中して行っています。これらの取り組みでもWiMAXの利用環境をますます向上していきたいと考えています。

――最後に、UQ PLANET読者の皆様にメッセージをお願いします。

要海:UQではデータ通信サービスについて、国内でも最新のサービスを提供していると社員一人ひとりが意識して、エリア改善や技術改良を進めています。そうした意識を醸成する取り組みの1つとして社員が直接フィールドに出て品質調査を行う、社員調査を実施しています。休日などを活用して、技術部門の社員が総出で、スマートフォンやパソコンを持ってフィールドに出て、実環境でどのようにサービスが提供できているかを体験型でテストを行っています。これは、WiMAXを開業したときから継続している取り組みで、フィールドデータの収集を行う直接的な成果に留まらず、見えない電波を肌で感じることができ、技術者一人一人にとって貴重な体験ができる取り組みだと考えています。

路地などを含めて広くデータを取りたいときには、自転車を使って連続的なエリアの通信状況を確認できる仕組みも社員の工夫で用意しました。

開業のころから、『肌感覚』とのキーワードのもとに社員がサービス実態を感じること、を実践しています。

フィールドテストのイメージ

下り440Mbpsのサービスで、ストレスフリーの環境は一段と進化します。

今回は、お客様に440Mbpsの環境を提供させて頂くことができ、目標がひとつクリアできたと考えています。お客様には、今まで以上に快適なデータ通信環境を提供できるようになる事は、技術陣としてはこの上のない喜びだと感じています。

次の目標は、1Gbpsを超えるデータ通信をWiMAXで具現化する事です。これには一層の周波数利用効率の向上技術の導入が不可欠で、変調方式、MIMO技術、キャリアアグリゲーションを更に高度化することを考えています。

具体的には変調方式に256QAMの採用やMIMO技術では8本のアンテナを使う8×8 MIMOの採用が考えられますが、実用化までには技術的に克服すべき課題がまだ残されています。更に、UQが割り当てを受けている50MHzの周波数をフルに活用する事も重要な要素になります。これらの課題を1つ1つ解決して、1Gbps超のストレスフリーサービスを本当に提供できるように、真剣に取り組んでいます。今後のUQのサービスにご期待頂きたいと思います。

文:岩元直久

写真:サコカメラ

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